心行寺から清澄通りを北へ、仙台堀川に架かる海辺橋を渡って右折して15分程行くと円珠院があります。
円珠院は、浄心寺の塔頭で、享保年間、旗本永井讃岐守直允の後室が開基となって開山されたと言われているこじんまりとしたお寺です。
江戸時代から「深川の大黒さん」として有名でした。
因みに、大黒天の神使はネズミです。正月三が日にネズミが出ることは目出度いこととされ、ネズミは「嫁が君」と言われて俳句の季語になっています。
「餅花や かざしにさせる 嫁が君」芭蕉
さて肝心な大黒様です。本堂に鎮座なされております。
円珠院から北側に徒歩数分、これまたこじんまりとした龍光院に着きます。
浄土宗霊光院の塔頭で、慶長16年(1611年)中央区馬喰町に創立されました。明暦大火(明暦3年(1657年))で焼失して千代田区岩井町に移転、天和2年(1682年)の大火で現在地に移転しました。江戸の華「火事」に翻弄され続けた歴史を纏っているといえます。
龍光院には、毘沙門天が鎮座されています。毘沙門天は仏教守護から国土守護の武神として、主に武将の間で信仰を集めました。中でも上杉謙信は有名です。
龍光院が現在地に移転した折、鬼門除けとして境内東北角に石造の毘沙門天が安置され、昭和11年(1936年)には境内の東南角に毘沙門堂が建立されました。
しかし昭和20年(1945年)、戦災で被災し、焼失してしまいました。
現在の毘沙門天は、昭和49年(1974年)、楠の木彫像で浄土宗開宗800年を記念して造立され、本堂に安置されるに至りました。
山門右手に、高さ3.5メートルの石造五輪塔が目に付きます。
貞亨3年(1686年)の銘がみえます。元来どなたかの供養塔であったと思われますが、関東大震災慰霊のため旧墓地から移築されたと伝えられています。
次回は、深川稲荷神社と深川神明宮を巡ります。