このシリーズで初めて葛飾区に足を踏み入れました。訪れたのは「立石様」です。京成の立石駅から徒歩7~8分程の ところにその方は鎮座されております。
江戸名所図会では、立石様は「立石村五方山南蔵院といへる真言宗の寺境にあり。地上に顕れたる所わずかに一尺(約 30センチ)ばかりなり。土人相伝えて、石根地中に入ることその際りをしらずといえり」と紹介されておりました。要 するに根が知れないほど深いということですが、この石が有名になったのはそれだけの理由ではありませんでした。この 石は冬になると縮こまり、春になると縮こまったところが膨らんで元の形となる不思議な石だということで村民たちは、 この石を立石様と呼んで親しみ、信仰の対象ともしてきたのです。
この不思議な石は、次回ご紹介する熊野神社の石棒とともに葛飾名物となり、江戸市内からも大勢の見物客が訪れ、江戸名所図会で紹介されるまでになっていたのです。
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さて、その立石様です。何とブランコ・滑り台・シーソーだけの小さな児童公園内の一角に、子供の背丈ほどの小さな 鳥居が建っています。
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児童公園内に建っているので、おもちゃの鳥居かと思って近づくと、傍に葛飾区教育委員会の説明版がありました。
鳥居の建っているところは「立石祠」で、昔から「立石様」と呼ばれて立石の地名の起こりとなった。祠の鎮座してい る石は、鋸山の海岸部に産する凝灰岩で、古墳時代後期の古墳石室の石材として運び込まれたが、官道整備の際の道標に 転用されたものと推定される。とあります。
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早速立石様を拝もうと不躾に祠を覗いて見たのが次の写真です。
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病気に効くとか、日清・日露戦争時に弾除けのお守りになるといった信仰から、立石様を欠いて持っていく人が絶えな かったせいでしょうか?現在の立石様のお姿はよく見ないと分かりません。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の感無きにしも非ず。
それにしても、立石様は、立石町民の皆さんのルーツなのです。もう少しそれに相応しい遇し方があってもよいのでは ないでしょうか。