目黄不動という聞きなれない名前のお不動様が江戸川区平井にあると知って訪ねてみました。正式名称は牛宝山明王院最勝寺。天台宗のお寺です。

  寺伝によると、貞観2年(860年)、墨田区東駒形に円仁(慈覚大師)が草創し、その高弟良本阿闍梨により開山されたとの由。江戸名所図会などにも描かれた由緒あるお寺です。

     目黄不動江戸名所図会

  大正2年(1912年)、駒形橋の架橋工事による区画整理で、現在地へ移転しました。

  山門を潜ろうとすると、印象的な赤格子の中の仁王様がこちらを睨みつけて、俗塵にまみれた参拝者の気持ちを引き締めてくれます。

     目黄不動⑤    目黄不動⑥     目黄不動⑦

  境内に足を踏み入れると、正面に本堂、その右側に不動堂が配置された伽藍が広がります。

     目黄不動②    目黄不動①    目黄不動堂遠望

   不動堂には、目黄不動尊が鎮座されています。本所表町にあった東栄寺の本尊でしたが、当寺に遷座されました。拝観は許されたものの、写真撮影は許されませんでした。ネットからの引用でご勘弁ください。それにしても迫力 のあるお姿。思わず圧倒されてしまいます。

   目黄不動尊②

  目黄不動は蓮でも有名なお寺です。訪ねた時期が悪かったのか、残念ながら殆ど枯れ果てていました。

   目黄不動蓮田

  ところで、目黄不動があるということは、目青、目白、目赤、目黒そして目黄の五つのお不動様があることを意味します。この五色、密教の陰陽五行説で重んじられた色で、順に東・西・南・北・中央を表すと言われています。

  ここからすると目黄不動は中央を意味することになるのに、何故江戸川区に鎮座されているのか?との疑問が生じますが、前に述べた通り、この不動様は本所表町から遷座されておられます。追々見ていきたいと思いますが、他のお不動様も、廃寺、統合などであちこち移動しておられますので、本来の結界(寺院の領域)としての意味は、もはや失われております。

  さて、目黄不動のことです。目黄不動は、台東区三ノ輪の永久寺、渋谷区神宮前の龍厳寺、港区六本木の不動院、昭島市玉川町の真覚寺と幾つものお寺にあることが判明しました。どうしてこんなに沢山あるのでしょうか? 次回は、その謎解きのヒントを求めて、隅田川を越えて、永久寺を訪ねてみます。