大聖歓喜自在天(だいしょうかんぎだいじざいてん)、通称聖天様をご存知の方は、そう多くはないのでしょう。原型は、ヒンズー教のガネーシャ神と言われ、頭が象で体は人間です。単身像と双身像がありますが、一般的には男女の双身像が有名で、互いに相手の右肩に顔を載せて、立ったまま抱擁しているお姿をされています。そのためでしょうか、古来秘仏とされてきました。
男天は魔王、女天は十一面観音の化身とされており、女天の優しさによって男天の暴れる心を鎮め、仏教に帰依させたと言われています。聖天様の大好物は大根とされているので、二又の大根をお供えします。二又の大根は、性器を表現するものと言われています。インド伝来の神様は、とかく色っぽい。平安雑記巻42の歓喜自在天をご覧ください。
まず地元の平井聖天を訪ねます。聖天様の鎮座される真義真言宗燈明寺は明雅山明王院と号し、文明年間(1469年~1486年)に元暁法印が開山したと言われています。
歴代将軍が鷹狩の時に参詣し、江戸名所図会にも描かれる等、江戸時代から有名なお寺でした。
立派な山門を潜ると左手に茶室があります。
歌人伊藤左千夫が設計したといわれていますが、その割には新しい。どうも二代目の茶室のようです。
正面右手に堂々たる本堂が聳えています。安政地震(1855年)で堂宇損傷、関東大震災(1923年)で本堂全壊、という被災を経ながら、関澄道貫主によって昭和4年(1929年)起工された宇治平等院風の三屋根造りの優雅な建物で、昭和49年(1974年)に建立されるに至っています。
墨田、江戸川両区民の憩いの遊歩道になっている旧中川の東岸に、その堂々たる姿が聳えています。
本堂の左手に建つのが聖天堂です。
残念ながら、秘仏平井聖天様は拝観できませんでした。あの色っぽいお姿です。有難すぎて、そのお姿を簡単に晒すわけにはいかないのだと納得することにしました。